演奏会のソロは、どうして緊張するの?
Sep 14, 2021演奏会の花形は、やはり華麗なソロ。
それを目当てにされるお客様も、たくさんいらっしゃいます。
奏者自身も、この日のために練習を積んできたはずです。
でも、いざ本番となると、緊張してしまって実力が発揮できなかった…。
こんな経験をされた方、たくさんいらっしゃいますよね。
あんなにやりたかったはずなのに!
練習のときはうまくいくのに!
どうして演奏会本番になると緊張してしまうのでしょうか?
今回は、その理由について奏者の立場で考え、さらに解決の方法についてご提案したいと思います。
ソロを演奏するということ
演奏会のソロには、いくつか種類があります。
① オーケストラや吹奏楽などで、首席奏者やパートの代表が演奏するソロ
② パート譜にソロと書かれている奏者が演奏するソロ
③ リサイタルや実技試験などで、ピアノ伴奏とともに演奏するソロ
④ 協奏曲で演奏するソロ
⑤ オーディションで演奏するソロ
このうち、③④⑤については、音楽大学の生徒や卒業生、またプロ奏者が演奏する機会の多いソロです。
②は、①とも共通する部分がありますが、全体としてソリ(複数名による旋律の演奏)になっている場合もあります。
たとえば、
特定のパートが、曲の中の一部の旋律を受け持つ
各パートの奏者1名が他のパートと一緒に旋律を受け持つ
などです。(※旋律でないときもあります。)
アマチュアオーケストラや、学生の吹奏楽でソロと言われているのは、①の「首席奏者やパートの代表が演奏するソロ」ではないでしょうか。
オーケストラで例を挙げてみますと、
マーラー 交響曲第5番、冒頭のトランペットソロ
マーラー 交響曲第5番 第3楽章のホルンソロ
マーラー 交響曲第3番 第1楽章のトロンボーンソロ
あ、金管パートばかりで恐縮です。
他にも、
ラヴェル ボレロ 管楽器パート
が、ありますね。
このような①のソロに対して、「緊張する」という悩みを持つ奏者は、とても多いのです。
(そもそも、このソロを演奏するにあたって、全く緊張しない人なんているのでしょうか?)
ということで、この①のソロに焦点を絞ってみていきたいと思います。
緊張する理由は、起こるかもしれない「よくないこと」
ドキドキする。
周囲が見えない、聴こえない。
息が思うように吸えない。
手が汗でびっしょり。
ソロの前の「緊張」とは、こんな状態ではないでしょうか。
緊張するのは、これから起こることが不安だから。
思った通りの「よくないこと」が起きるような気がする。
思ってもみなかった「よくないこと」が起きるような気がする。
そんな不安な心が、身体を「緊張」という状態にさせてしまうのです。
ここで言う「よくないこと」とは、ソロの演奏がうまくできないことです。
ソロがうまくできない、これは本当に不安ですよね。
でも、もしこの不安を、自分自身が作り出しているとしたら?
ここに、緊張解消のヒントがあるかもしれません。
練習不足による不安を解消するには?
ソロパートを受け持つことが決まったら、まず練習が大切です。
ところが、この練習をしていない場合が多いように思います。
ソロの部分の練習が足りないときは、演奏会本番でも、先行きが読めず、不安の要因となってしまいます。
中には、「何時間も練習したよ!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、練習の時間数だけでは、結果に結びつかないときもあります。
練習はたくさんした。
個人練習では譜面通りに演奏できる。
でも、合奏になるとミスしてしまう。
思い当たる方は、ソロの前から練習してみることをオススメします。
曲のどの部分で(どの音が聴こえたら)準備するか。
ソロの何小節前から楽器を構えるか。
何拍前からブレスするか。
それをシュミレーションしながら練習すると、合奏でもうまくいくことが多くなりますよ。
他人の評価が気になることからくる不安を解消するには?
もしも、もしも、このソロがうまくできなかったら…。
どう思われてしまうだろう…。
同じ楽団のメンバーから、「やっぱりあいつはヘタだ」と言われるのではないか。
せっかくいらしてくださったお客様を、がっかりさせてしまうのは申し訳ないのではないか。
演奏についての評価、気になりますよね。
どうしてもやりたかったソロなのに。
パートや楽団の代表としての存在感を示すチャンスなのに。
私自身も、さんざん悩み、通ってきた苦難の道です。
他人の評価なんて気にするな、と言われても、かえって気になってしまうものです。
なので、ここは、あえて気にしてみましょう。
同じ楽団のメンバーで、「やっぱりあいつはヘタだ」と言うのは、どんな人でしょうか。
実は、もともと相性のよくない人ではないでしょうか。
その人は、ソロが成功しても、きっと、あの手この手で、低い評価をしてきます。
(私がかつて活動していた楽団にもいました…。)
その人にはその人の基準があり、その人の人生に深く根差しています。
それを変えようというのは至難の業です。
それに、もともと相性がよくない人。
その人を変えようとする時間があるでしたら、その時間を使って、
「やりきった!」
と思えるまで練習するほうが得策でしょう。
ちなみに、私は、その人が近くにきたら、
「私の中では、私が一番うまいから!」
と思うことにしています。
これ、結構効きますよ!
次に、お客様からの評価。
残念なソロを演奏したら、お客様に申し訳ない。
プロ奏者でなくても、責任感の強い奏者なら、つい思ってしまうこと。
ここは、いったん立場を変えて、自分自身がお客様になってみましょう。
と言っても、本番中は分身の術でも使わない限り、奏者とお客様の両方になることはできないので、リハーサル中にお客様になります。
リハーサルを録音しておくのです。
本番と同じホールでリハーサルができるのであればベストですが、そうでない場合も、リハーサルの演奏を録音することはできますよね。
リハーサル後に、それを聴いてみましょう。
あくまでも、シンプルに、初めて聴いたお客様のつもりになって。
いかがですか。
そんなに悪くはないでしょう?
本番でお客様が聴いてくださるのは、きっとその演奏です。
おおよその予測がつけば、不安は軽減されるはずです。
それでも不安なときは、BodyChanceでヒントを得よう
練習もじゅうぶんしました。
相性のよくない人との心理的折り合いもつけました。
リハーサル録音も聴いてみました。
それでも不安な人は、BodyChanceに行ってみましょう!
BodyChanceは、アレクサンダー・テクニークを学べる学校です。
「え? アレクサンダー・テクニークって何?」
という方もいらっしゃいますので、簡単にご説明いたします。
アレクサンダー・テクニークとは、俳優業をしていたF・M・アレクサンダーが発見した原理で、
「身体の不要な緊張に気づき、これをなくしていくことで心身の不調を解消を図る」
というものです。
俳優として朗読劇でステージに立っていたある日、F・M・アレクサンダーは、声がかすれてしまうという状況に見舞われてしまいます。
声を出して演じることが生業のF・M・アレクサンダーにとって、声がかすれてしまうのは俳優生命にも関わる一大事でした。
いろいろな治療を受けても、休養をとっても、一時的な回復をするだけで、すぐまた声がかすれてしまい、演技に支障をきたしてしまうことの繰り返し。
そんなF・M・アレクサンダーは、彼自身で解決する方法を模索し始めます。
そして見出したのが、アレクサンダーテクニーク。
その原理は、俳優業のみならず、演奏家や舞踊家など、ステージパフォーマンスを行う職業や愛好家に用いられるようになりました。
現在では、さまざまな職業の方に用いられ、心身の不調を解消する有効な手段になっています。
BodyChanceで学べることは、アレクサンダーテクニークの理念に基づき、頭と脊椎の関係から心身の緊張を取り除くこと。
実は、私もBodyChanceに通っているのです。
これまで書いてきた「不安解消」の方法もBodyChanceに通うようになってから気づいたものでした(照)
BodyChanceには、さまざまな職業、さまざな年代、さまざまな状況を抱えた人が生徒として通っています。
その生徒に向き合ってくれる、専門の講師がたくさんいらっしゃいます。
生徒それぞれ、多様な悩みに対して、講師の方々はもちろん、誰ひとりとして、バカにしたり、軽んじたりする人はいません。
一緒に考え、解決の方法を導いてくれる場なのです。
ソロを演奏するときはたったひとりでも、BodyChanceにはあなたのことを理解してくれる仲間がいます。
それだけで、心があたたかくなってきませんか。
BodyChanceでどんなことが学べるのか?知りたくなったらぜひ 体験レッスン にいらしてくださいね!
まとめ
今回は、演奏会のソロが緊張してしまうことについて、その理由を奏者の立場で考え、解決の方法についてご提案しました。
ソロを演奏したいけど、こわい。
でも、ステージでは、相性のよくない人も一緒に演奏するのです。
お客様の前で演奏するのが、演奏会なのです。
今回ご紹介したことを、お役に立てていただければ幸いです。
いつでも楽器は、手にとってくれるのを待っていてくれます。
私達のパフォーマンスを楽しみにしてくださる方たちが、たくさんいらっしゃいます。
貴方・貴女ならではの音楽ライフを楽しみましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「アレクサンダー・テクニーク」は全世界で取り入れられている脱力&緊張解消メソッドです。
あなたの悩みを解決に導く方法を学んでみませんか?