アレクサンダー・テクニーク教師トレーニング

演奏前のウォームアップにアレクサンダーテクニークを使うとメリットしかない

レッスンを受けて良かったこと 演奏に活かす Sep 23, 2021

あなたも楽器を演奏する前にウォームアップをしていますよね?

どんなウォームアップをしていますか?

毎回決まったルーティーンのようなものがありますか?

それとも、その日そのときの状況で決めていますか?

個人練習のとき、
合奏の前、
本番の前、

できることならそれぞれの場面ごとに、演奏で実力を発揮するための効果的なウォームアップをしたいですよね。


今回は、演奏とウォームアップについて、アレクサンダーテクニークの原理を使うとどんなことが考えてみたいと思います。

 

ウォームアップをする人、しない人

ほとんどの方は、演奏前にウォームアップをされると思うのですが、ごくまれに、ウォームアップをされない、という方もいらっしゃいます。

 

その方にうかがってみますと
「ウォームアップは必要ない」
とおっしゃいます。

楽器を用意して、すぐに思い通りのパフォーマンスができるなんて、すごい!!

私自身は、「ウォームアップをする人」なので、そういう方は、どういう練習をなさってきたのか、ふだんどういう練習をなさっているのか、気になってしまいます。

かくいう私も、実は、かつて「ウォームアップをしない人」でした。

それも、なんともおかしな理由から、「ウォームアップをしない」ことにしていました。

 

楽器を始めた頃、当時の仲間たちと、
「〇〇さん(世界的な名プレイヤー)は、朝起きて、すぐ『ボレロ』(詳しくは後述)のソロを吹くらしい」
という話になり、それを真に受けて、ウォームアップなしで、すぐに楽器を吹き始めるのがカッコイイと思っていました。

そうすることで、その名プレイヤーのようになれる、とも思っていました。

今にして思えば、どこから出てきた話かわかりません。

日本、そして東京の片隅図で、楽器を始めたばかりの学生が、世界的な名プレイヤーの練習風景を知っているはずはないのに…。

ましてや、朝起きてすぐの状況なんて、ですよね。

でも、若い私は、とにかくすぐにうまくなりたくて、その話をすっかり信じでしまっていたのでした。

そんな私が、ウォームアップの必要性を知るのは、少し先のことになります。

※『ボレロ』ラべル作曲。
2種類の旋律を、各楽器のソロでつないでいくのですが、トロンボーンパートには、オーケストラのオーディション時にも用いられる、難易度の高いソロがあります。

 

ウォームアップの必要性

ここからは、ウォームアップの必要性について、私の経験とともに書いていきます。

ウォームアップは必要ないという方は、「へ~、そうなんだ」くらいに読み進めてください。

私が、アヤシイ情報を信じていて、ウォームアップをしないことにしていたのは、前述の通りです。

そんなある日、プロのトランペット奏者の方と一緒に演奏する機会ををいただきました。

産休に入るメンバーの代わりに、復帰するまでの間の代奏という形で、金管五重奏のグループに加わるチャンをいただいたのです。

この金管五重奏は、プロのトランペット奏者がリーダーということもあって、「駆け出し」の私には、本当に厳しいものでした。

練習が始まれば、曲が終わるまでノンストップ!

演奏中に落ちても(楽譜についていけず迷子になっても)、自力で復帰するのは当たりまえ。できない箇所も手加減なし。かわいこぶっても容赦なし。

今、思い出しても、「うわ~~(泣)」という気持ちになるのですが、その経験が、私を次のステップに進ませてくれたことに、とても感謝しています。

 

ある練習日。

いつもにように楽器を用意して、いきなり
ぶお~!!
と、なにやら曲を吹き始めた私。

そこへ、リーダーのプロトランペット奏者が近づいてきて、ひとことおっしゃいました。
「アマチュアの人って、そうやっていきなり、わけわかんない曲を吹き始めるよね~。」

(う~む、めっちゃキビシイ…。)

さらに、

「それ何? 音出し? ウォームアップ? まさか曲の練習? そんなわけないか、吹けてないもんね?」

(さらに、キビシイ…。)
(でも、当たってる…。)

 

そして、その場で、

・今日ここで、どんな演奏をしたいのか
・今の自分の状態は、どうなのか
・今の楽器の状態は、どうなのか

これをポイントに、ウォームアップの方法を教えてくださったのでした。

トランペットとトロンボーンの違いはありますし、プロの奏者と当時の私のレベルの違い、そしてお互いのコンディションの違いもあると思いますが、とても有用だったのを覚えています。

そのときの方法は、今も私の、毎回のウォームアップのベースになっています。

 

このウォームアップが功を奏したのか、以降の金管五重奏の練習は、ヘッポコだった私でも、なんとかついていけるようになりました。

毎回、鍛えられたおかげで、産休のメンバーが復帰した際、他の金管五重奏の団体を紹介してもらえるほどに成長できたのです!

ウォームアップとは、
「目的を決めて、自分自身と楽器に、準備をさせる」
ということ。

適切なウォームアップは、自分の演奏が向上することにつながることを教わりました。
プロ奏者(楽器演奏を生業にしている人)は、やっぱりすごいなぁ、と思った私でした。

 

ウォームアップにアレクサンダーテクニークを取り入れてみる

時は流れ、私も、人前で演奏させていただく機会が増えました。

人に教える立場にもなりました。

そして、パフォーマンス向上のため、BodyChanceでアレクサンダーテクニークの学ぶようになりました。

アレクサンダーテクニークとは、俳優業をしていたF・M・アレクサンダー(1869年~1955年)が発見した原理です。

彼は、俳優として活動している舞台の本番中に、声がかすれてしまう、という状態に陥ってしまうとという不幸に見舞われてしまいました。

いろいろな治療法を行ったり、休養をしても、ほとんど効果なし。

当時の状況から考えれば、俳優を辞めるしかなかったかもしれません。

でも、彼はあきらめませんでした。

独自の方法で身体の使い方を研究し、ついに、頭と脊椎の関係性が自身のパフォーマンスを悪化させる原因であることを発見したのです。

さらに研究を深めていきながら、生活における様々な動きや活動に応用していきました。

彼のもとを訪れる人々が訴える不調について、その人自身の身体の不要な緊張に気づき、これをなくしていくことで快方に導きました。

私も、BodyChanceでアレクサンダーテクニークを学び、今では演奏前のウォームアップに取り入れるようにしています。

 

アレクサンダーテクニークの基本原則のうち、
「自分自身を観察する」
「頭が動いて身体がついていく」
の2つをウォームアップの前に行うのです。

 

まず、「自分自身を観察する」ことから。

これはまさに、前述のプロトランペット奏者が教えてくださった
・今日ここで、どんな演奏をしたいのか?
・今の自分の状態は、どうなのか?
・今の楽器の状態は、どうなのか?
に、当てはまります。

これから行うのは、練習なのか本番なのか。
練習の場合、個人練習なのか、合奏なのか。
初見なのか、ゲネプロ(本番同様の通し練習)なのか。
ソロがあるのか。
高音(低音)が多いのか。

これだけでも、ポイントはたくさんありますね。

 

自分の状態は、どうでしょうか。

自信満々?
寝不足?
指は動く?
身体は軽い?
楽器の状態は?
キイやピストン、ヴァルブ、スライドは、きちんと動く?
息を入れたかんじはどう?

管楽器だけではなく、打楽器や弦楽器の方も、演奏前に、楽器の調子を確認しますよね。

自分自身と楽器を観察しながら、心の中で、自分と楽器に語りかけてみると良いと思います。

 

観察ができたら次のステップです。

「頭が動いて身体がついていく」
と、口に出してみます。実際に、声にしてみましょう。

脊椎の上に頭が自然に乗っている状態、心身の緊張を解消する状態に導いてくれます。

これで、心も身体も、楽器も、準備万端!

 

ウォームアップで行うこと

アレクサンダーテクニークを使って、心と身体、楽器の準備が整ったら、ウォームアップを開始します。

ウォームアップもさまざま、人それぞれですよね。

マウスピース練習から行う人。
ロングトーンから行う人。
大きな音で行う人。
小さい音から行う人。
高い音か

ら行う人。
低い音から行う人。

自分観察を行って、そのときに合った方法で行うと良いと思います。

短い時間で終わるか、じっくり時間をかけるかは、その日のコンディションや内容に関係していることが多いかもしれません。

短いと不安だという人もいれば、時間をかけるとバテる、という人もいます。

毎回決まったルーティーンで行う人もいれば、その日の曲によって変える、という人もいます。

私は、その日の曲によって変えることが多いです。短めのときもあれば、長めにするときもあります。

ウォームアップ前にアレクサンダーテクニークを使うことで不要な緊張も解消し、時間に余裕を持って行くことを心がけるようになりました。

 

まとめ

今回は、演奏前のウォームアップの必要性と、アレクサンダーテクニークを取り入れる方法について書きました。

ウォームアップは、
「目的を決めて、自分自身と楽器に、準備をさせる」
ということ。

ウォームアップで不要な緊張が入ることは珍しくありません。不要な緊張を伴ったウォームアップは逆効果になることもあります。

そのため、アレクサンダーテクニークを使うことで不要な緊張が解消できれば、より効果的なウォームアップになるはずです。

 

あなたのウォームアップにもぜひアレクサンダーテクニークを取り入れてみてください。

自分のウォームアップにどうやって取り入れるとより効果的か?
演奏や本番のパフォーマンスをもっと向上させたい!

そう思ったらぜひ 体験レッスン に来てみてください。

講師と一緒に、あなたのウォームアップにアレクサンダーテクニークをどう行かすことができるかを考えましょう!

いつでも楽器は、手にとってくれるのを待っていてくれます。

私達のパフォーマンスを楽しみにしてくださる方たちが、たくさんいらっしゃいます。

大切な時間を使って行う練習を、有意義なものにしましょうね!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 「アレクサンダー・テクニーク」は全世界で取り入れられている脱力&緊張解消メソッドです。

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