効果が上がる!金管楽器のマウスピース練習にアレクサンダーテクニークを
Sep 07, 2021楽器の練習をしたいのにできない、というときがありますよね。
ご近隣との関係もありますし、とにかく忙しくて時間がない、など、さまざまな事情があると思います。
そんなとき、マウスピースだけの練習をする、という方も多いのではないでしょうか。
もし、そのマウスピースを使った個人練習に、アレクサンダーテクニークを取り入れることで効果アップが期待できるとしたら?
実はこの方法、私が行っているですが、楽器を付けたときに、かなり「良いかんじ」になります。
なので、みなさまにもぜひ試していただきたいと思い、今回ご紹介させていただくことにしました。
私がトロンボーン奏者であるため、金管楽器中心の内容になってしまいますが、木管楽器奏者の方も、ぜひご参考になさってください。
はじめに
マウスピース練習に関して、最初にお伝えしたいことがあります。
現在、飛沫飛散防止の観点から、学校や演奏団体の練習場におけるマウスピース練習を、禁止あるいは制限されているところがあるようです。
公共の練習場でのマウスピース練習は、ご自身の所属されている学校や演奏団体のガイドラインを遵守してくださいね。
そういった状況もありますので、今回は、
「ご自宅での個人練習」
に焦点を絞っています。
ひとりきりの空間で、マウスピースのみを使った練習。
できることは限られてしまうので、フラストレーションがたまりがち。
でも、ここにアレクサンダーテクニークを取り入れると、ふだんとは違ったことに気づくことができるのです。
アレクサンダーテクニークとは、俳優業をしていたF・M・アレクサンダーが発見した原理で、
「身体の不要な緊張に気づき、これをなくしていくことで心身の不調を解消を図る」というものです。
今回は、アレクサンダーテクニークの基本である、
「自分自身を観察すること」
「頭が動いて身体がついていくこと」
の2点を用いながら行ってみたいと思います。
よろしければ、実際にマウスピースをご用意して行ってみてください。
アレクサンダーテクニークを取り入れたマウスピース練習 手順①
練習を始める前に、次のステップを順番に行っていきます。
ステップ1:目的を決める
まず練習の目的を決めましょう。
毎日のウォーミングアップや基礎練習として。。
アンブシュアの確認をしたい。
本番が近いから、少しでも唇をサボらせたくない。
など、これからマウスピース練習をする目的を決めます。
あくまでも、自分のための目的です。
ステップ2:イメージの構築~場所を想像する
現実では、マウスピースだけ、しかも自宅です。
そこから、イメージを膨らませて、自分が「どこにいるか」想像してみましょう・
貴方・貴女は、どこで吹いていますか。
大きなホールですか?
いつもの練習場ですか?
行ったことのない広い森の中ですか?
いろいろな場所を思い浮かべることができると思います。
その中で、一番心地よいのはどこですか?
どこで吹きたいですか?
ご自身が、一番好きな場所をイメージしてみると良いと思います。
ステップ3:イメージの構築~誰と吹いているか想像する
ステップ2で、好きな練習場所が決まったら、練習のパートナーを決めましょう。
学校や楽団の仲間ですか?
レッスンをしてくれる先生ですか?
憧れの名プレーヤーですか?
もちろん、自分ひとりだけ、でもOKです。
ここまでで、かなりイメージが構築できたのではないでしょうか。
すると、練習メニューも決まってきますよね。
学校の基礎合奏でやっている、音階練習。
今度の本番で演奏する、ソロ。
森の中で思う存分、リラックスして吹く大好きな曲。
などなど。
さあ、次は、いよいよそれでは音を出してみます。
アレクサンダーテクニークを取り入れたマウスピース練習 手順②
ここからアレクサンダーテクニークを取り入れた練習になります。
まず、ここまでのステップを反復して、自分自身を観察します。
・いつもの自分と比較して気づくことはありますか?
・楽器を付けているときとの違いはありますか?(今はマウスピースだけで吹いています。)
・呼吸は楽ですか?
・唇の振動はどうですか?
次に、楽器をつけているイメージでマウスピースで音を出してみましょう。
楽器をイメージしているときと、イメージいないときの違いはありますか?
大きな違いを感じる方もいらっしゃれば、そうでない方もいらっしゃると思います。
どちらかが正しくて、どちらかが正しくない、ということはありません。
あくまでも、そのときの感覚です。
そろそろ自分観察が楽しくなってきたのではないでしょうか。
ここで、もう一歩、進んでみましょう。
マウスピースを唇に当てる前に、
「頭が動いて身体がついていく」
と言ってから、を唇に当てて音を出してみてください。
この「頭が動いて身体がついていく」というのは、頭と脊椎の関係から身体に生じる緊張を除くための、アレクサンダーテクニークの基本です。
聞き慣れないフレーズなので、「?」と思う方は、頭が脊椎を押しつぶしていない状態だと考えてみてください。
す~っと、肩や腰が軽くなるような気がしませんか。
「頭が動いて身体がついていく」
小さな声で構いません。。
言葉にしてから、マウスピースで音を出してみます。
ここでも、さきほどの観察を行いましょう。
・いつもの自分と比較して気づくことはありますか?
・楽器を付けているときとの違いはありますか?
・呼吸は楽ですか?
・唇の振動はどうですか?
音を出す前、音を出しているとき、音を出した後。
自分自身に起きたことを、貴方・貴方自身でキャッチしてくださいね。
楽器の練習に生かす
ここで大切なのは、マウスピース練習で得たことを、楽器の練習に生かすということです。
マウスピースの練習は、楽器の練習の一環なので「別物」ではないということです。
マウスピース練習のときに感じたこと、気づいたこと。
目的を明確することやイメージの構築によって起きた心身の変化。
頭が動いて身体がついていくことで起きた心身の変化。
これら、いずれも不要な緊張の解消につながるものです。
この状態を、楽器の練習のときにも再現してみると、どうなるでしょうか?
楽器から奏でられた「第一声」は、きっといつもと違うはずです。
私の場合、楽器が、音を出すことを喜んでいるのを感じます。
その日1日は、練習が楽しいです。
みなさまはいかがですか?
マウスピース練習の際の注意
マウスピースで個人練習を行う際に注意したいことを2つ挙げてみます。
1つめは、長くやりすぎないということです。
マウスピースだけの音出しは、楽器を付けている場合とは明らかに違うからです。
大きな違いとしては、
マウスピースを唇に当てたときの角度
息の抵抗感
音程
ですね。
その違いが知らず知らずのうちに緊張やストレスになることも考えられます。
不要なクセがついてしまうかもしれません。
練習時間の長さについては、個人によって異なると思いますので、一概に「〇分が良い」と明言することは難しいのですが、私の場合は、
練習の目的となることが確認できたら終了!
を目安にしています。
アレクサンダーテクニークを使って緊張を取り除いてから練習を行うことを忘れないでくださいね。
手順は、前述の通りです。
2つめは、
「なんだか違うな、合わないな」
と思ったらやめることです。
楽器を吹いているときとの違いがあまりにも大きく感じられるとき
疲れているとき
など、マウスピースでの個人練習に適さないときが、誰しもあります。
そんなときは「練習しない」という選択肢も必要です。
何に違和感を感じているのか
心身がどういうときにそう思うのか
これらもまた、大切な自分観察。
もし「練習しない」と決めたら、大好きな演奏のDVDを観たり、憧れのプレイヤーのCDなどを聴いたり。
音を出さなくても、音楽と共にあることはできます。
さてここで、おまけの情報をひとつ。
マウスピースでの違和感を解消する器具をご紹介しておきます。
金管楽器用なのですが、楽器に取り付ける「B.E.R.P.(バープ)」という器具があります。(ご存じの方もいらっしゃると思います。)
写真は、私のB.E.R.P.(バープ)と、それを装着したものです。
金具で楽器のマウスパイプの外側に装着して使います。
これを使うと、実際に楽器を構えた姿勢でマウスピース練習ができます。
息の抵抗感も調節できる仕組みになっているので、音以外は楽器の練習に近いかもしれません。
価格は4,000円ほどです。
まとめ
今回は、マウスピースを使った個人練習に、アレクサンダーテクニークを取り入れることについての効果について書きました。
アレクサンダーテクニークの基礎である、
自分自身を観察する。
頭が動いて身体がついていく
に基づき、
練習の目的を明確にする
イメージを構築する(どこで?誰と?)
を行うというものです。
それを楽器を付けたときの練習に生かして、良い変化を感じることができれば嬉しいですよね。
良い変化が良いパフォーマンスになり、楽器演奏の時間をさらに楽しく♪
いつでも楽器は、手にとってくれるのを待っていてくれます。
私達のパフォーマンスを楽しみにしてくださる方たちが、たくさんいらっしゃいます。
大切な時間を使って行う練習を、有意義なものにするために、今回ご紹介したことをお試しいただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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