宙に投げられたボール

マーサ・グラハム（舞踏家・振付師）がノーム・チョ ムスキー（哲学者・言語学者）と結婚したらどんな感じか想像してみてくださいールシアはその二人から生まれた子 どものような人です！ルシア・ウォーカーは、自分独自でスタイルを編み出した先生です。特 にどのティーチング系譜に従っているという風でもありません。

２０１０年５月８、９、１０日の３日間に渡って行わ れたシドニーのボディチャンスのアレクサンダー・テクニーク・プロコース・エデュケーションにて、ル シアは、ボールをぽーんと投げて、あらゆる情報を収集してくださいとみんなに尋ねました。

びっくりしましたか？あるいはそれほどびっくりしていませんか？悪いことであると思いましたか？本当ですか？　びっくりするのは人 間的なことでではないですか？

自分のボールが受け取ろうとしてくれているひとの手の中に落ちていかないと、気分が悪くなります か？また、自分の思い通りの人の手の中に落ちていくと、うれしくなりますか？　うれしく感じるのも自然なことではありませんか？　自 分の協調作用の求めていることが満たされるということは、自然な喜びではありませんか？　それに対して、失敗したときは欲求不満を感じ てしまうでしょうーこれも自然なことではありませんか？

ボールが落ちると、どうしていつもご めんなさい、と言うのでしょうか？　ボールを落とすということも、キャッチすることと同じくらい自然なことではありませんか？

二つかそれ以上のボールが同時に自分の方へ投げられたら、何が起こるでしょうか？１２個のボールを全部キャッチしたジャ グラーの話は、可能性に対するインスピレーションですね。

ボールが届いたら、どこに焦点を当て ていますか？　ボール、投げた人、円を作って立っている人たちを見ていますか？　ボールだけに焦点を当てていたら、どんなことが起こりますか？あ るいはボールを囲んでいる人たちのみに焦点を当てていたら、どうでしょうか？

ウィークエンドは、ボール を投げてばかりいるという訳ではありませんでした。その他の場面で、わくわくするようなことはいっぱいありました。

ルシアの提供したクラスの内容をまとめると、フォー カス視野と周辺視野を探求すること、グループとのつながりを保ちながらも特定の誰かにつながる能力、ゲームに反応しているときの自分 の興奮に気づくこと、しかしその興奮を適切に方向付けて、人やゲームの状況に対応することでした。

ルシアのワークは、多層に渡っています。たいていはひとつのシンプルなアイデア からスタートします。そして、そのアイデアはアクティビティを通して紹介されます。次に、最初に提案されたことの上に新し いテーマが積み上げられます。ゲームの体系のなかに人生の複雑さがこめられています。けして圧倒することもなく、個人的に追求するわ けでもなく、だけどたしかに「自分がここにいる」のが分かります。そして、実際の生活の中で映し出される自分の振る舞いと同じものを そこに見るのです。そして、あれよあれよという間に発見が起こり、以前には素通りしていた洞察が起こるのです。

ルシアは、自分独自の「ハンズオフ」で教えるテクノロジーを発展させました。グ ループ全員が日常生活を映し出す発見へと導かれる人間の行動を探求させてもらえます。グループティーチングの技を探求する研究者のみ なさん、人間の可能性と智慧ある生き方を追求するこの優しく、探究心旺盛で、遊び心のあるルシアか ら学んでください。

ルシアのワークの底流には、あなたはO.Kですというメッセージが延々と流れています。人 間の内奥にある極端な傾向は自然なものであるにもかかわらず、自分を責めがちであることに気づかされます。正しくありたいという取り 付かれるような欲望ーー破壊的にもなり得ますが、これも、自然な動きの一部です。失敗して後悔するということも、成功を生 み出すバイタリティとなり得ます。すべては瑞々しくカラフルな瞬間から瞬間へと移り変わる人生のタペストリーの中に編み込まれていき ます。あらゆる瞬間に、わたしたちが必要としているあらゆる情報をもたらす経験が提供されます。そのなかには、アレクサンダー・テ クニークの発見も含まれています。

宙に投げられたボール

人生を成り立たせているのは、毎日の生活です。日常生活の中 で自分がどのように反応しているかということに驚嘆するひと、それがルシアです。

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